サラリーマンも年金生活者も、給料や年金から税金を源泉徴収(天引き)される。その際、各種の控除が正確に反映されていないと、税金の額が本来支払うべき額より高くなる。そこで「こんな控除があります」と自ら税務署に申告して、払い過ぎた税金を取り戻す機会となるのが確定申告である。
なかでも定年後世代と現役会社員に深く関連するのが「医療費控除」だ。『あっという間にかんたん確定申告』の監修者で税理士の山本宏氏が指摘する。
「1年間に支払った医療費が10万円以上か、あるいは課税所得の5%を超える場合、医療費控除を申告すれば、超過分を所得から控除でき、税金の還付を受けられます。医療費をいくら使ったかは個々の事情なので勤務先などでは把握しきれず、現役会社員も定年後世代も自分で申告する必要があります。とくに高齢になると医療費がかさむので、忘れずに申告すべきです」
定年後に再雇用で働くAさん(65)は、給料(年240万円)と年金(200万円)を合わせた年収が440万円。昨年、妻が乳がんで2度手術し、手術代や入院費などで医療費の自己負担分が約100万円になった。
サラリーマン時代は会社任せで確定申告の知識がなかったAさんだが「絶対にやるべき」と知人に勧められて医療費控除を申告すると、約4万5000円が還付金として戻ってきた。