鈴木さんによれば、EUがアメリカから肉の輸入を止めて7年で、EU諸国の多くで乳がん死亡率が20%以上減り、なかには45%近く減った国もあったという。
EUは国民を守ろうとアメリカに立ち向かったが、日本はそうはならず、堂々とスーパーに陳列されている。
2009年、札幌市内のスーパーや百貨店などで購入した国産牛肉とアメリカ産牛肉の残留エストロゲン濃度を計測、比較した研究がある。これは同年、日本癌治療学会で『牛肉中のエストロゲン濃度とホルモン依存性癌発生増加の関連』と題して発表され、注目を集めた。同研究を手がけた北海道対がん協会の理事兼細胞診センター所長で医師の藤田博正さんが話す。
「無作為に札幌市内で購入した牛肉の残留ホルモン濃度を最先端の測定機器で検査したところ、アメリカ産牛肉から国産と比べて赤身で600倍、脂身で140倍ものエストロゲンが含まれていたことがわかりました。日本で乳がんや子宮体がん、子宮頸がん、前立腺がんなどのホルモン依存性がんが急増した原因は、アメリカ産牛肉の消費が増えたことと関係があるのでは、という疑惑を生じました」
測定結果の数値が出た時、EUがアメリカ産牛肉を禁輸にしている理由こそこの“疑惑”なのだ、と藤田さんが続ける。
「発がん性リスクとの関連ではわかっていない部分も多いのですが、安全性が証明されていない以上、私の家族にはアメリカ産を含む輸入牛肉は食べないよう言っています」
これまで指摘されてきたように、日本では乳がんが年々増加している。1981年には4100人ほどだった乳がんによる死者が、2017年には1万4000人を超えている。また、30~64才の女性では死亡原因のワーストワンだ。さらに、乳がん患者の年齢層に着目したこんな見方も衝撃的だ。
「日本人の乳がん、子宮体がん患者の年齢分布を見ると、50代と70代にかけて2つのピークがあるグラフになっています。肥育ホルモン剤入り牛肉を禁輸しているEUでは70代に1つピークがあるだけ。戦後生まれの70代と違って、子供の頃から肥育ホルモン入り牛肉を食べ続けてきた今の50代に、影響が出ている可能性があります」(藤田さん)
※女性セブン2020年2月20日号