2月17日から始まった「確定申告」。自営業者のみならず年金受給者や現役世代にとってもお金を取り戻すチャンスだが、実は「使う制度」を間違ってしまうと、本来取り戻せるはずのお金が戻ってこなくなる。誰もが直面する可能性のある「制度の2択」、あなたはどちらを選べばいいのか。
定年後に再雇用で働くAさんは昨年秋に持病の糖尿病治療で数日間入院。大事には至らずに済んだが年間の医療費は15万円まで積み上がった。
Aさんはまず、「これは医療費控除を使えば、結構な金額を取り戻せるのでは」と申請書類を書き始めた。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円以上か、課税所得の5%を超えた人が申請すれば、超過分を所得から控除でき、税金の還付が受けられる制度のこと。給料と年金で年間660万円の収入があるAさんの場合、医療費15万円であれば5万円が控除額となる。Aさんがこの制度を利用すると、所得税の還付と課税所得が減ったことによる今年の個人住民税の減額を合わせて約1万5000円が取り戻せることになる。
しかし、この選択は「正解」ではないのだ。
「薬代だけ」が得なケースも
「“別の制度”を使えばAさんはもっと多くの還付金を受け取れます」
そう話すのは『あっという間にかんたん確定申告』の監修者で税理士の山本宏氏だ。
「セルフメディケーション税制です。風邪薬や胃腸薬、水虫薬など薬局で購入できる1700以上のOTC医薬品(*注)が対象で、年間1万2000円以上購入すると所得控除(上限8万8000円)を受けられます」
【*注/薬局で購入できる、処方箋不要の医薬品のこと。市販薬】