感染拡大を受けて需要が急増したのが「マスク」「消毒液」など予防グッズ製造会社だ。マスクメーカーの興研や防護服を手がけるアゼアスなどの株価は昨年末に比べ一時3倍以上の上昇を見せた。あまり報じられないが、それ以外にも一時的に“コロナ対策特需”が期待される企業は少なくない──。
富士フイルムホールディングスは2月25日、上場来高値を更新する5890円の値を付けた。株式評論家の植木靖男氏が解説する。
「傘下の製薬会社が開発した新型インフルエンザ治療薬『アビガン』が、新型肺炎の特効薬になる可能性が指摘されたからです。加藤勝信・厚労相が22日に投与を始めたと発表し、投資家の関心が一気に高まりました」
経済ジャーナリストの有森隆氏が続ける。
「3月2日には、神奈川県立足柄上病院の医師などのグループが、喘息治療薬『シクレソニド』を投与した新型肺炎患者に症状の改善が見られたと報告。開発した帝人ファーマを子会社に持つ帝人の株価が急騰しました」
感染防止のために多くの企業・学校で「在宅勤務」「臨時休校」が進められ、“巣ごもり消費”のニーズも高まる。飲食業界では「宅配デリバリー業者」が活況を呈している。
宅配サービス『出前館』では、2月のオーダー数が前月より2万件増加した(273万件)。定期的に利用するアクティブユーザー数も3万人増えて320万人となった。
「外出を控え在宅勤務が増える中、当社のニーズは高まり、オーダー数は前年同月比でも18%増と大きく伸びています」(同社広報担当者)
マーケットアナリストでケイ・アセット代表の平野憲一氏が言う。
「『Uber Eats』を展開するUber Japanや、テイクアウト弁当の『ほっともっと』を展開するプレナスも特需につながりそうです」