北村氏の試算によると、A氏が退職金2000万円を一括で受け取っていれば、「退職所得控除」があるため所得税も住民税もゼロとなり、丸々手取りになる。ところが、2000万円を分割で受け取ると控除がないため所得税・住民税の総額が220万円アップし、保険料をあわせると450万円ほど負担が重くなっている。
退職金を企業年金方式(分割)にすれば1~2%程度の利回りがつくケースもあるが、税金が増えるマイナスの方がはるかに大きい。北村氏がいう。
「退職金を老後の生活費の足しにしたいと考えている人も、分割ではなく、全額一時金で受け取って自分で預金し、65歳から毎月貯金を取り崩して生活費にあてる方が断然得なのです」
退職金は一括でもらうのが基本だという原則を忘れないようにしたい。
※週刊ポスト2020年3月27日号