投資情報会社・フィスコが3月30日~4月3日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円はもみ合いか。米国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年4-6月期の米国経済が景気後退(リセッション)に陥ることは、避けられない状況となった。ドル資金不足は解消されつつあること、インフレ進行の可能性は低いとみられており、目先的にリスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。ただし、米国政府と議会は雇用情勢の急激な悪化などに対応するため、2兆ドル規模の大規模な経済支援を実行することで合意しており、株式市場では今年後半における米国経済の回復を先取りする動きも出ている。
今後発表される雇用や企業景況感などの経済指標は、大幅に悪化することが確実視されているが、米国株式は指標の大幅な悪化をある程度織り込んだ水準まで下落している。米長期金利の伸び悩みはドル売り材料となるが、日本の経済指標も3月以降は大幅に悪化するとみられており、国内におけるウイルス感染は拡大していることから、リスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。
【米・3月ISM製造業景況指数】(4月1日発表予定)
4月1日発表予定の米3月ISM製造業景況指数は45.5と、2月の50.1から大幅に低下する見通し。新型コロナウイルスの蔓延によって製造業の景況感は大幅に悪化する見通しだが、市場予想と一致した場合、リスク回避のドル売りは抑制される可能性がある。
【米・3月雇用統計】(4月3日発表予定)
4月3日発表予定の3月米雇用統計では、失業率3.9%、非農業部門雇用者数は前月比-6.1万人程度と予想されている。非農業部門雇用者数の減少は市場予想を大幅に上回る可能性があるが、平均時給の伸びは前年比+3.0%程度と予想されており、賃金減少の懸念がただちに強まる可能性は低いとみられる。