そして感染が終息に向かってから、いよいよ景気回復、需要喚起を目的とする本格的な経済対策を打つべきだという。前出・永濱氏がいう。
「新型コロナ終息後の需要喚起で一番有効なのは間違いなく『消費税減税』です。内閣府のマクロ計量経済モデルで計算しても、消費税減税は現金給付の2.4倍の経済効果がある。私は官邸に行って減税実施前に買い控えが起きないやり方を進言したのですが、可能性は低いでしょう。政府は消費税増税に苦労したから、時限措置であっても税率をひとたび下げてしまうと、戻そうとした時に上げられなくなるという拒否感があるのではないか」
国民の命が危機に直面した時、いやしくも国のリーダーたる政治家が金をケチってはいけない。ところが、安倍首相はせっかくの現金給付を「国民一律には配らない」と時間がかかる条件をつけ、「感染が終息すれば経済をV字回復させる」と言いながら最も効果的である消費税減税には踏み込もうとしない。
これでは、東日本大震災後、真っ先に「復興の財源をつくる」と増税を強いた、あの菅直人首相と五十歩百歩だろう。そうでないというなら、現金を国民一律に配り、消費税減税も決断してみせてはどうなのか。
※週刊ポスト2020年4月17日号