新型コロナ危機のなか、国会では4月14日に年金改正法案が審議入りした。「人生100年時代」に備えた年金制度の抜本改革の始まりだ。
改正の柱は3つある。それに合わせて年金のもらい方を見直したい。第1の改正は「働くと年金が減る」仕組みから、「給料と年金がフルでもらえる」制度への転換だ。
現行の在職老齢年金制度は、会社で働きながら年金をもらう場合、給料と年金の合計が一定額(65歳未満は28万円)を超えると支給額を減らされる。
しかし、制度が見直され、65歳未満で働きながら年金をもらっても減額されにくくなる(合計47万円までカットなし)。年金と給料のダブル受給で60代以上の就労を促す狙いがある。社会保険労務士の北山茂治氏が指摘する。
「これまでは働き方をセーブしたり、年金受給に合わせて完全リタイアを考える人が多かったが、今後は年金をもらい始めてもバリバリ働いた方が得をします。とくに65歳になる前に厚生年金の特別支給をもらえる世代(今年度の満年齢が男性60歳以上、女性55歳以上)にはメリットが大きい」
65歳以降も年金を受給しながら働くのが有利だ。「在職定時改定」という仕組みが導入され、65歳から70歳までは、働き続ければ毎年、年金額がアップしていくからだ。
さらに、来年4月から企業に70歳まで雇用延長の努力義務が課せられる。年金のもらい方を見直す上では、「定年後は70歳まで年金を受給しながら働く」という選択が最もメリットが大きい。