投資情報会社・フィスコが6月8日~6月12日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。主要国の株高などを受けて4月上旬以来となる109円台に上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)はマイナス金利導入に消極的なスタンスで、6月9-10日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、金融政策の現状維持が決定される見込み。米国金利の先安観は一段と後退し、リスク回避的なドル売り・円買いはやや縮小するとみられている。
世界的に都市封鎖(ロックダウン)による制限措置が徐々に緩和され、米国経済の早期正常化への期待感が広がるものの、5月の失業率は4月の14.7%を上回る。また、4-6月期国内総生産(GDP)は前例のない大幅な落ち込みを示すとみられ、米国経済の早期回復シナリオが描けないとの見方もある。白人警官による黒人暴行死といった社会不安も、景気の持ち直しを抑制する要因となっているようだ。
ただし、米国株式市場は、新型コロナウイルスの影響で急落した後は徐々に持ち直し、ナスダック総合指数は史上最高値付近で推移している。株高はドル高要因になるとは言い切れないものの、日米の株高を意識した円売り・米ドル買いの興味は失われていないことから、現時点でドル・円相場が円高方向に大きく振れるような相場展開は想定しにくい。一方、FRBは9-10日にFOMCを開催し、現行の緩和的な金融政策を維持する。焦点のマイナス金利導入に関し、パウエル議長は改めて消極的な見解を示す見通しで、FOMC終了後に金利先安観が台頭し、リスク回避的なドル売りが広がることは回避されそうだ。
【米・5月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の5月CPIは前年比+1.3%と予想されており、インフレ率は4月実績をやや下回る可能性がある。ただし、インフレ鈍化は世界的な傾向であり、市場予想と一致しても、ドル売り材料にはならないとみられる。
【FOMC】(9-10日開催予定)
FRBは6月9-10日にFOMCを開催し、現行の緩和的な金融政策を維持する公算。マイナス金利導入に関しパウエル議長は否定的な見解を示すとみられ、ドルは売りづらい見通し。