投資情報会社・フィスコが7月6日~7月10日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。米国の新型コロナウイルスの感染再拡大と経済の早期正常化を見極める展開となり、期待と警戒でドル円の取引では売り買いが交錯しそうだ。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)導入への思惑は後退しており、ドル売りは限定的となろう。
足元で発表された米国の6月ISM製造業景況指数や6月雇用統計などが予想外に改善し、早期回復に期待感が広がっている。パウエルFRB議長も議会証言で当初の想定よりも早く持ち直すとの見方を示し、経済指標が堅調な内容だった場合は株高に振れ、リスク回避的な円買いは抑制される展開が見込まれる。
一方、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が指摘しているように、ユーロ圏も最悪期は脱したとの観測が広がっている。目先も経済指標を手がかりにユーロ買いが想定される。EUは復興基金の設置について7月8日にも合意するとの思惑が浮上しており、ユーロ買いを後押しし、ドルには下押し圧力となる。
ただ、米国内では複数の州でコロナ感染が再びまん延し始めたほか、香港統治をめぐる米中対立が深まり、安全逃避的なドル買いは根強い見通し。特に、米国では近く香港自治法案が成立するとみられ、今後の米中関係の一段の悪化は避けられず、ドルは底堅さを増すだろう。
また、FRBが公表した連邦公開市場委員会(FOMC)の6月会合議事録では、YCCに関して協議されたが、導入については否定的な見解で一致。それによりYCC導入の観測は薄れつつあり、ドル売りは弱まりそうだ。
【米6月ISM非製造業景況指数】(6日発表予定)
6日発表の米6月ISM非製造業景況指数は49.1と、5月の45.4を上回る見通し。好不況の節目となる50に接近すれば早期回復への期待感から株高につながり、安全通貨のドルは売られる展開となりそうだ。
【前週分新規失業保険申請件数】(9日発表予定)
9日発表の前週分新規失業保険申請件数は、改善度合いが注目される。雇用統計は回復基調にあるものの、申請件数は減少傾向が鮮明とは言い切れず、予想よりも悪化すればドルは売りづらいだろう。