米4-6月期のGDP(国内総生産)速報値が過去最大の落ち込みとなったことなどを受けて30日のNYダウは225.92ドル安と反落した。このNY株安と円高を受けた31日の日経平均は朝方の安寄りから下げ幅を広げて、前場で6月29日以来となる22000円割れを見た。後場も東京都で初の400人超えとなる感染者増が警戒されて次第安となり、大引の日経平均は629.23円安の21710.00円とこの日の安値引けで、今年初の6日続落をみた。7月月間の日経平均は4か月ぶりのマイナスとなった。
今週の日経平均は、戻りの重さが意識されて引き続き軟調な展開が想定されるなか、下値を探る展開となりそうだ。日経平均は31日にかけて今年初の6日続落となったが、この間の下げ幅は1170円強に達した。値幅および日柄的にはリバウンドを試すタイミングながら、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が連日の過去最高の更新をみせ、東京都では酒類を提供する飲食店などに午後10時までの営業時短の再要請に踏み切って、景況感に対する警戒感も強まっている。関西・中京圏などでの感染者増加も第2波として意識され始めたことで、東京市場はリスクオフの流れに傾いている。
加えて、FOMC(米連邦公開市場委員会)をきっかけに為替が一時1ドル=104円台に突入する円高傾向となっていることや、東京ガス<9531>やJR東<9020>などディフェンシブ性を持つ公益株が決算発表を受けて急落するケースが目立っていることも地合いを悪化させている。企業業績も赤字転落、大幅減益などが相次いでいる。
従来は日経平均が崩れそうになるとNYダウおよびナスダック総合指数の上昇が救うパターンとなっていたが、この構図に陰りが見え始めている。8月7日の日本時間21時30分に重要経済指標である米7月雇用統計の発表を控え、翌週10日は「山の日」の祝日で東京市場は3連休に入ることから、週後半は手控えムードが強まることも想定される。
なお、東京証券取引所がまとめた7月第4週(20日-22日)の2市場投資部門別売買状況によると、海外投資家は現物株で849億円の買い越し(前週は620億円の売り越し)に転じ、現物株と先物合計の売買は133億円の買い越し(同2537億円の買い越し)を継続した。現物で買い越しに転じて先物では5月第2週以来の10週ぶりの売り越しに転じたことは、日経平均など指数調整の要因の一つとみられる一方、海外資金も個別株物色に傾斜した動きを象徴したとも捉えられる。
物色的には引き続き決算発表が最大の手掛かり材料となる。米国の企業決算は、8月4日にウォルト・ディズニー、カジノ併設の統合型リゾート事業のウィン・リゾーツがあるものの主要企業のピークは通過した。一方、国内の決算発表は佳境に入り、3日にNTTドコモ<9437>、JAL<9201>、4日にソニー<6758>、三菱UFJ<8306>、5日にホンダ<7267>、6日にトヨタ<7203>、任天堂<7974>、メルカリ<4385>、7日にSMC<6273>、日本郵政<6178>が予定する。
なかで、ソニーは4日大引け後に発表し、同日16時からインターネット配信による説明会が開催される。トヨタ、任天堂とともに、その決算内容が全体相場にも影響を与えそうだ。このほか、4日はファーストリテ<9983>が7月国内ユニクロ売上高速報を発表するなど、消費関連企業の月次データ開示が個別材料として意識されてくる。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、8月3日に7月自動車販売台数、1-3月期のGDP2次速報改定値、4日に7月東京都区部消費者物価指数(CPI)、7月マネタリーベース、5日に新型コロナウイルス有識者会議、7日に6月家計調査、6月毎月勤労統計調査、6月景気動向指数がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、3日に米7月ISM製造業景況指数、米7月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値、米6月建設支出、4日に米6月製造業新規受注、5日に米7月ADP雇用統計、米6月貿易収支、米7月ISM非製造業景況指数、6日に米前週分新規失業保険申請件数、7日に米7月雇用統計、中国7月貿易収支、米6月消費者信用残高が予定されている。