投資情報会社・フィスコが8月3日~8月7日のドル円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル円は弱含みか。7月米雇用統計など低調な経済指標から早期回復への期待は後退し、株安を手がかりにドルへの下押し圧力が強まりそうだ。ドル円の当面の下値目途を模索する相場展開が予想される。米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派寄り姿勢(金利先安観の台頭)にも思惑が広がり、ドル売りを支援する見通し。
米国内での新型コロナウイルスの感染再拡大で、先行きへの懸念が強まっている。30日に発表された米国の4-6月期国内総生産(GDP)は-32.9%と、1-3月期の-5.0%を大幅に下回った。空前の落ち込みで早期持ち直しへの期待は遠のき、リスク資産を整理する動きが強まった。8月7日発表予定の7月雇用統計では、失業率は小幅に低下するものの、非農業部門雇用者数の増加幅は前月から減少する見通し。雇用情勢の改善ペースの鈍化で米国経済のすみやかな回復期待は低下しており、米国株式が下落した場合、ドル売りがさらに進みそうだ。
金融政策面でもドル売りを招きやすい。FRBは7月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。同時に、コロナ再流行の深刻化を受け、経済を支えるためにあらゆる手段を活用するとの姿勢を示した。政策変更は見送られたものの、将来的に追加緩和措置が導入されるとの思惑が広がっている。また、米中対立の先鋭化、トランプ政権の追加支援策に関する与野党の協議難航、米大統領選が予定通りに行われる保証はないとの見方など、ドル売りにつながる材料は多い。
【米・7月ISM製造業景況指数】(8月3日発表予定)
8月3日発表予定の米7月ISM製造業景況指数は53.5と、6月の52.6を上回る見通し。製造業は回復傾向がみられるものの、そのペースは緩慢。市場予想と一致しても米国経済の早期正常化を期待したドル買いが大きく広がる可能性は低い。
【米・7月雇用統計】(8月7日発表予定)
8月7日発表予定の7月雇用統計は、失業率10.5%(前回11.1%)、非農業部門雇用者数は前月比+163.5万人(同+480.0万人)、平均時給は前年比+4.2%(同+5.0%)と予想される。雇用者数の鈍化で回復期待は弱まり、ドルは買いづらい展開に。