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コロナ禍の夏の電車内 窓開放でも暑くならない凄い空調能力

 当然、これだけの冷房を使えば大量の電気を消費する。山手線の車両の場合、クーラーや照明装置など向けに1基につき260kVAの容量を持つ補助電源装置が3基搭載されている。1両当たりの容量はおよそ71kVAだ。もちろん、補助電源装置の電力をクーラーだけが消費しているわけではないが、クーラーが搭載されていなかった時代の電車が搭載していた補助電源装置の容量は1両当たりせいぜい10kVA程度。残りの61kVA分はほとんどクーラーが使っていると考えられる。

 ちなみに、これだけの空調設備を備えているためか、毎夏、鉄道各社には「車内が寒すぎる」といった苦情も多く寄せられるという。人の少ない時間帯の車内で驚くほど寒い思いを経験した人もいるかもしれない。電車用の空調は、自動で室温調整するオートエアコンモードで作動しており、車内の温度は一般に25℃前後、弱冷房車であれば27~28℃程度に設定されている。本来なら不満は出ないはずだが、扉の開閉が頻繁なためか、どうしても都度車内を冷やそうとして調整が上手くいかないことがある。

 また、コロナ禍の現在、「常に窓を開けて欲しい」といった要望も多く寄せられるという。もちろん窓を開けることは有効だが、実は窓を開けなくても車内の換気は十分とも言える。今夏、電車に乗った際はそんな車内の空調について考えてみるのも良いかもしれない。

【プロフィール】うめはら・じゅん/鉄道ジャーナリスト。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)入行。雑誌編集の道に転じ、月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に独立。現在は書籍の執筆や雑誌・Webメディアへの寄稿、講演などを中心に活動し、行政・自治体が実施する調査協力なども精力的に行う。

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