投資情報会社・フィスコが8月10日~8月14日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は上げ渋りか。米国経済の先行き不透明感から、ドルは他の主要通貨に対して弱含む展開が続きそうだ。ただ、ユーロドルについては、1ユーロ=1.20ドル手前で利益確定を狙ったユーロ売りが出やすく、対円などでドル売りの圧力を弱める可能性があろう。米国での新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するなか、雇用関連指標のさらなる改善は難しい状況となりつつある。労働市場の収縮も意識されそうだ。先週発表されたISM景況指数は製造業、非製造業とも雇用指数は鈍化した。新規失業保険申請件数は市場予想を下回ったものの、100万件を大幅に上回る状態が続いており、米国経済の先行き懸念は根強い。
連邦準備制度理事会(FRB)当局者も今後の回復シナリオには慎重で、米10年債利回りは節目の0.50%に接近している。長期金利の低下を手がかりにドルは下落トレンドが続いており、長期金利の戻りは鈍いことから、主要通貨に対するドル安の流れに変わりはなさそうだ。株高一服の場合もドルの下げを支援しよう。ニューヨーク株式市場はハイテク株を中心に強気ムードが続く。ワクチン開発への期待感も継続しているが、有力企業の決算発表をほぼ消化したほか、トランプ政権による追加経済対策も与野党合意で決着の見通し。週明け以降は株価指数の調整が意識されそうだ。
一方、欧州連合(EU)の復興基金創設をきっかけとしたユーロの動向がドル売りを弱める可能性もあろう。足元では域内の堅調な経済指標を背景にユーロドルは騰勢を弱めず、ドル円への強い下押し圧力となっているが、ユーロ高・米ドル安が一服した場合、ドル円の取引でドル売り圧力が多少低下する可能性は残されている。
【米・7月消費者物価コア指数】(12日発表予定)
12日発表の7月消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+1.1%とやや鈍化する見通し。ただし、消費や成長の鈍化でインフレの伸びの鈍化は織り込み済みで、相場への影響は限定的とみられる。
【米・7月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の7月小売売上高は前月比+1.7%と、6月実績の+7.5%から伸びは鈍化する見通し。予想を下回れば回復シナリオへの懐疑的な見方が広がれば、ドル売り要因になりそうだ。