また、あまり知られていないが、1976年の年末ジャンボ宝くじの福岡市と松本市の売り場で、デマにより群衆が窓口に殺到。各1人が死亡、30人以上が負傷という衝撃的な事件もあった。
「つまり、日本人が行列好きとか、常に整然と並ぶ、とも限らないのです」(堀井さん)
トレンドウオッチャーのくどうみやこさんは、「宝くじを買うために、わざわざいちばん混む1番窓口に並ぶ点はほかにない光景」と語る。
「ファッションでは『H&M』、ゲームでは『たまごっち』、本では村上春樹作品への行列が印象的でした。振り返ってみれば、その種類は【1】深夜発売に同好の士が集まる“お祭り要素”の行列、【2】限定品や裏原系レアものなど“希少性狙い”の行列、【3】流行に敏感な“SNSのネタ的トレンド系”の行列、【4】マスクなど“品薄のもの”を買う行列、などに大別できます。
その行列が長ければ長いほど、いち早く目的を達成したときの優越感は格別なのだと思います」(くどうさん)
人々が欲しいものへの熱量を可視化できる現象だからこそ、行列はおもしろいのだ。
※女性セブン2020年9月3日号