投資情報会社・フィスコが8月31日~9月4日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)の雇用の拡大と物価上昇を目指す方針を背景に、長期金利の上昇を手がかりとしたドル買いが継続しそうだ。また、8月雇用統計で一段の改善が確認された場合、早期回復期待のドル買いが強まり、107円台での取引が増える可能性がある。
パウエルFRB議長は8月27日、カンザスシティ連銀主催の国際経済シンポジウムで金融政策に関する新たなアプローチを発表した。完全雇用の復活とインフレを健全な水準に戻すことを目指し、長期間にわたり低金利を堅持。今後、一時的に2%超の物価上昇を容認する可能性があるため、インフレ期待の高まりによって米長期金利が上昇した場合、ドルを押し上げる可能性がある。また、緩和的な金融政策の長期化を背景に米国株式の強気相場は継続するとの見方が多いことも、ドルの上昇を支援するとみられる。
9月4日発表の雇用統計で、失業率が10%を下回るかどうかが1つの目安となろう。非農業部門雇用者数の動向も重要だが、失業率が10%を下回った場合、米国景気の早期回復への期待感が高まり、長期金利、株価、ドルの上昇が予想される。
一方、ドル高への回帰でユーロや豪ドルなど他の主要通貨が弱含みとなった場合、クロス円は軟調地合いとなっても不自然ではない。ドル円相場にも一定の影響を与える可能性があるので注意したい。なお、安倍首相の辞任報道を受けてリスク回避的な円買いが観測されたが、すみやかな政権交代に直結する可能性は低いとみられている。経済支援策や金融緩和策の枠組みが大幅に変更される状況ではないとみられており、リスク回避的な円買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月1日発表予定)
9月1日発表予定の米8月ISM製造業景況指数は54.4と、7月の54.2を上回る見通し。夏場以降は製造業の持ち直しが鮮明になっており、年末に向け経済の正常化に期待感が広がればドル買い要因に。
【米・8月雇用統計】(9月4日発表予定)
9月4日発表予定の8月雇用統計は、失業率9.9%(前回10.2%)、非農業部門雇用者数は前月比+151.8万人(同+176.3万人)、平均時給は前年比+4.5%(同+4.8%)と予想される。失業率が10%を下回った場合、雇用情勢の改善を意識してドル買いが強まる可能性がある。