みずほ銀行は2021年1月から紙の預金通帳を発行する際に1000円(税込1100円)の通帳発行手数料をとると発表した。同年1月18日以降に新規口座を開設する人が対象で、それ以前からの預金者や70歳以上の高齢者は対象外だ。
紙の通帳の代わりに、オンラインで確認できる“デジタル通帳”を提供し、パソコンやスマートフォンで最大10年分の明細が閲覧できるという。
「窓口やATMで振り込みなどの手続きをする」「通帳に小まめに記帳しながらお金の出入りを管理する」「口座にお金を入れておけば安心・安全」──そういった“旧来型の銀行”から、この国の金融機関は大きく姿を変えようとしている。個人客をデジタル通帳やオンライン取引へと誘導しようとしているのは明らかだ。
銀行が預金者に対して“旧来型の銀行からの脱却”を促している以上、銀行との付き合い方を変えざるを得ない時代が来ている。
考えられる選択肢のひとつが「ネットバンキング」の活用だろう。ファイナンシャルプランナーの大堀貴子氏が語る。
「探してみると、ネット銀行には金利が高い定期預金もあります。たとえばオリックス銀行の定期預金は1年もので0.12%、3年もので0.27%となります」
インターネットが使えれば、基本的には店舗に行く必要がないため「地銀のネット支店もその地方に住んでいなくても口座開設できる」(大堀氏)という。窓口の営業時間を気にせずに24時間、365日利用できることに利点を感じる人もいるかもしれない。取引状況に応じて預金金利や各種手数料が優遇されているところも多い。
ただ、ソニー銀行など実店舗のないネット専業銀行では、何かあった時も電話がなかなかつながらなかったりする懸念がある。
「パソコンやスマホの操作に自信がない中高年の場合、何かあった時に窓口に相談できるメインバンクのネットバンキングサービスのほうが利便性が高いという考え方もあるでしょう」(大堀氏)
通帳手数料の導入などと表裏一体の関係だが、大手銀行もネットバンキングに力を入れている。
みずほ銀行はインターネットを通じた振り込みの場合、手数料が減額される。三菱UFJ銀行も本支店間の振り込み手数料が無料になるほか、投資信託の購入時手数料が10%オフになる。様々な手数料を上げたり、新設したりしているのとは、対照的な動きがあるのだ。