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サイゼリヤ「急回復」を支える新施策の数々 来期黒字転換も視野に

コロナの影響で足元業績は落ち込んだが…

 時代や景気の移り変わりとともに、企業を取り巻く環境は絶えず変化する。30年以上にわたり、さまざまな企業を取材し続けてきた経済ジャーナリストの和島英樹さんが、今注目の企業・業界の動向を分かりやすく解説する。今回は、低価格イタリアンレストランをチェーン展開する「サイゼリヤ」の最新動向について。

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 外食産業は、新型コロナウイルスの影響をもろに受け、厳しい状況が続いている。コロナ収束の目途が立たず、先行きも見えにくいなか、経営が逼迫している企業も少なくない。こうした中、この状況にいち早く対応し、業績改善が進みそうなのが「サイゼリヤ」だ。

 1500店舗以上のイタリアンレストランを世界に直営展開するサイゼリヤは、自社工場で食材を生産することで他社を圧倒する低価格を実現し、中国での事業展開にも強みがある。コロナの影響で、足元の業績は当然ながら厳しかった。7月に発表した2020年8月期第3四半期(2019年9月~2020年5月)の売上高は980億4100万円(前年同期比15%減)、営業損益22億6200万円の赤字だった。コロナの感染拡大や、4月の緊急事態宣言を受けて約300店舗の臨時休業や営業時間の短縮などを行ったことが響いた。通期の業績予想と配当も「未定」に変更した。

 しかし、既存店売上高は急速に回復している。コロナの影響を最も受けた4月は前年同月比61.4%減だったが、5月に同52.2%減、6月は同33.5%減、7月には同27.1%減にまで縮小している。ロックダウンしていた中国での展開も、上海の6月の既存店売上高は同20.7%減にまで回復しているという。テイクアウトを強化したり、徹底した感染対策を進めた結果、まだまだ楽観はできないものの、顧客が回帰してきている。

 7月からは、全メニューの税込み価格を改定し、端数をゼロに統一。キャッシュレス対応が遅れている同社は、会計の際に1円単位のつり銭のやり取りが多く、これがコロナ禍での感染予防上の課題となり、時間もかかるためオペレーション上の課題にもなっていた。この取り組みにより、会計時に1円や10円硬貨を受け渡す頻度は最大8割減るという。

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