投資情報会社・フィスコが9月7日~9月11日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円はもみ合いか。米連邦準備制度理事会(FRB)は追加の金融緩和を検討しており、9月15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フォワードガイダンスの強化や量的緩和策の拡大について議論される可能性がある。米国金利の先高観は一段と後退したが、ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル買いは継続する可能性があるため、ドル円の取引にも何らかの影響が及びそうだ。欧州中央銀行(ECB)は10日開催の理事会で緩和政策の拡大に踏み切るとの観測から、ユーロ売り・米ドル買いの取引が一時的に増える可能性があり、この局面でドル売り・円買いの取引はやや縮小するとの見方が出ている。
3日の米国株式は大幅安となったが、上昇局面における調整安の範囲内とみられ、米国株式の先高観は失われていないようだ。新規失業保険申請件数は前回から減少しており、日本時間4日夜に発表される8月雇用統計が市場予想を上回った場合、米国経済の早期回復期待からドルを買い戻す動きが広がりそうだ。とはいえ、ドル円は上昇基調に振れても、上昇ペースは緩慢になるだろう。通商問題を巡る米中の対立が深まることは回避されそうだが、トランプ政権の追加経済対策の与野党協議への期待は後退している。また、南シナ海における米中の偶発的な軍事衝突はなお警戒されており、ドル円の107円回復には時間がかかりそうだ。
【米・前週分新規失業保険申請件数】(10日発表予定)
10日発表の前週分新規失業保険申請件数は、さらに減少するかどうか注目される。失業者数は高止まりしており、制限措置の緩和のトーンダウンなら株安・ドル高を招きやすい。
【米・8月消費者物価コア指数(CPI)】(11日発表予定)
11日発表の8月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+1.6%と7月実績と同水準となる見込み。実質金利のマイナスが続くとの思惑が広がれば、ドル売り要因となろう。