ネット通販を利用する際には、配送料のほかに何らかの“手数料”が発生することもある。中には目の余るほどの手数料を徴収する通販会社もあるというが、果たして法的に問題はないのだろうか。弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
欲しかったTシャツをネットで発見。購入しようとしたのですが、代金3150円(税抜き)なのに、手数料が2000円! いくら配送料は無料だと謳っていてもヒドすぎ。そもそもネット販売の手数料を統一せず、各店舗に任せている業界にも問題があると思います。竹下先生の見解をお聞かせください。
【回答】
Tシャツの売り手が手数料の額を決める場合、買い手にとっては代金との合計額が実質的な代金です。高いと思えば、買わなければよい、というほかありません。
仮にネット上で配送料無料を大きく謳いながら、見えにくい場所で高額の手数料をわかりにくく表示すれば、消費者はTシャツ代価を実際の支払額より安いと誤解しかねません。景品表示法に違反する不当な価格表示になることがあります。その場合、広告の差し止め等の防止措置が取られる可能性もあり、消費者センターなどへの情報提供が有効でしょう。
そのような小細工がなく、支払金額が明示されているケースなら、誤解される余地はないので、不当な広告とはいえません。その場合でも、例えば原価100円の物を、原価として2500円と表示し、原価を偽ることで、特に商品の性能や品質に大きな違いがあると誤解させる場合などは、不実告知として問題になる可能性もあります。こうした問題点がなければ、苦情を持ち出す先はなく、言論で批判するしかありません。