最終回に向けて盛り上がるドラマ『半沢直樹』(TBS系)。「帝国航空」の再建に動く半沢直樹に立ちはだかるのは、江口のりこ演じる「白井国土交通大臣」、そして“黒幕”として君臨する「箕部幹事長(柄本明)」だった──。劇中では、一企業の再建にここまで政治家が介入するものなのかと驚かされる展開になっているが、現実ではどうなのか。
「帝国航空」は2010年に経営破綻したJALがモデルとされているが、実際のJALの再建でもドラマさながらに政治家や官僚が暗躍していた。『JAL再建の真実』の著者で経済ジャーナリストの町田徹氏はこう語る。
「もともとJALの経営は非常に厳しかったが、2008年のリーマンショックで資金繰りが綱渡り状態になった。自民党政権下では日本政策投資銀行や国際協力銀行などからの緊急融資で凌ぐこととなったが、そんななかで起きたのが2009年の民主党への政権交代です」
ドラマと同じように、新政権になると当時の前原誠司・国交相は「JAL再生タスクフォース」を立ち上げ、新たに創設した企業再生支援機構による再建を選択させた。
支援機構は金融機関の債権放棄が必要と判断し、JALに会社更生法適用申請を求めた。銀行団は抵抗し、減額させたものの最終的に3830億円の債権を放棄することで合意している。
現実世界では、結果的にJALは再生し、再上場も果たして、銀行だけが泣いた形で終わったことになる。
「民主党政権は“対自民党”を意識してあえて異なる再建を選んだという見方もありますが、前原国交相の“いい格好したい”“目立ちたい”が発露した結果だったと思います。自民党政権末期に立ち上げた有識者会議を『白紙撤回』と宣言し、自らの“政治主導”で取り組むと見栄を切った。政府として権限を振るいたかったのでしょうが、国交相にJALの再建計画を主導する権限も法的根拠もありません」(町田氏)