発売後、一躍話題となり、予約待ちの人気商品となった『柿の種のオイル漬け』。その第3弾となる「だし醤油仕立て」が登場し、売れ行きを伸ばしている。調味料なのにパリパリ食感の柿の種はどのようにして生まれたのか。その秘密を探った──。
『柿の種のオイル漬け』を開発したのは、新潟県の米菓メーカー・阿部幸製菓だ。同社は明治32年創業の老舗で、米菓類の中でも柿の種など小型の米菓を中心に製造してきた。柿の種の需要といえば、柿ピーとしてビールのおつまみやお茶請けにすることがほとんどだろう。イメージ的にも若者が好むというより、中高年の定番のおやつといった印象が強い。
そんな中、同社は、「柿の種をこれから先、もっと多くの世代の人に食べてもらいたい。おつまみやお茶請け以外、例えば主食に柿の種を食べてもらえないだろうか」と考えた。キャッチコピーは、「柿の種を食卓に。」。柿の種を使った調味料として食卓シーンに登場させることはできないかというアイディアが生まれた。
いままでにない商品を手にとってもらうには、あっと驚くようなインパクトがある製品にする必要があるため、見た目が重要だ。また、米菓の最大のタブーは「湿気てしまうこと」だという。本来、湿気てはいけない柿の種を調味料に漬けてみたらどうだろう……「調味料に漬けた柿の種」という方向性が定まると、実際に試作がスタートした。
この商品を食べた消費者から好評なのが、調味料に漬かっているにもかかわらず柿の種は湿気ておらず、パリパリとした食感が楽しめること。どのようなオイルを使えば、湿気らせずに漬けることができるのか? 1年以上の時間を費やして完成したのが、第1弾の「にんにくラー油」だった。発売後、メディアで取り上げられると、最大6か月待ちになるほどの人気となり、次いで「ピーナッツバター」が発売された。そして、第3弾として「だし醤油仕立て」の発売に至った。