「70歳就業法」と呼ばれる改正高年齢者雇用安定法が来年4月に施行される。この法律によって、社員が70歳まで働き続けることができる仕組みをつくる努力義務が事業主に課せられる。つまり、「60歳定年」の常識は崩れ、“定年崩壊”となってしまうのだ。
70歳以降も働くのが当たり前の“定年消滅時代”が到来すると、退職や再就職といった区切りのたびに「必要な手続き」も出てくる。その詳細を知っておかなければならない。
たとえば、退職する場合は「健康保険の手続き」が必要だ。社会保険労務士の稲毛由佳氏がいう。
「ここでは、健康保険の任意継続という選択肢があります。健康保険組合、協会けんぽなど、もともとの勤め先の健康保険に、退職後も最大2年まで継続して加入できる制度です。
現役時代に会社と折半していたぶんが自己負担になるので保険料は2倍になりますが、上限があるために市区町村の国民健康保険(国保)に加入するよりも得になることが多い。退職前に市区町村の窓口などで国保加入の場合の保険料の額がいくらになるか確認し、任意継続にするかをあらかじめ決めておきたい。
任意継続を選ぶ場合、資格喪失日(退職した翌日)から20日以内に加入していた健康保険での手続きが必要になります」