NHKが受信料の徴収をさらに強化する方針だという。総務省の有識者会議(公共放送の在り方に関する検討分科会)は11月19日、テレビを持っているのに受信契約に応じない世帯に「割増金」、いわば“罰金”を課す方針を打ち出した。来年1月の通常国会に提出する放送法改正案に盛り込む方針だ。今後、未契約者が契約を結ぶ際に、過去の分まで遡って割り増し料金を払わせる仕組みになる。
そうしたなか、菅義偉首相のブレーンが、大胆なNHK改革案をブチ上げた。内閣官房参与に起用された高橋洋一・嘉悦大学教授だ。
高橋氏は元財務官僚で、霞が関時代には道路公団民営化、政策金融機関改革、郵政民営化などに携わった。菅首相もその大胆な改革プランを生み出す力を評価して内閣官房参与に起用したとみられている。
高橋氏がNHK改革の具体策にあげるのが、教育放送「Eテレ」のチャンネル売却だ。
「NHKの分割・民営化はいっぺんにはできない。まず手をつけるべき改革は、教育チャンネル(Eテレ)の売却です。
いま若い世代を中心にテレビを持たない人が多く、すでに映像はスマホやタブレットで見る時代になっている。これから、どんどんその傾向は強くなっていきます。そうした時代にあって、NHKが経営資源を無駄にしているのがEテレです。全国放送で広い周波数帯を使い、同じ時間帯に原則1番組しか放送できないのに、視聴率が低い。電波という公共資源が有効活用されていない。
そこでEテレのチャンネル(周波数帯)を売却して携帯(通信)用に利用すれば、通話だけではなく、もっと多種多様の映像コンテンツを同時に配信できる。Eテレが占有していた電波の一部を政府のデジタル庁が使えば、確定申告などのサービスにも利用できる。
NHKはEテレにはいい番組があるというかもしれないが、それなら政府がそれを買って配信すればいい。NHKは国会の予算委員会の一部だけテレビ中継しているが、国はすでに国会中継を全部ネットでライブ配信しているわけです。
これほど技術革新が進んでいるのに、視聴率が低い番組をわざわざ電波を占有して放送する発想は時代錯誤。Eテレの電波を通信に再分配したほうが公共のためになるし、NHKの膨張にも歯止めをかけることができる」(高橋氏)