介護は費用負担も重い。親の要介護度が重くなり、特別養護老人ホームなど施設に入居させるとなるとなおさらだ。
「親の年金や預貯金、兄弟姉妹でどれだけ負担できるかなど介護の資金計画を立てる。そして自宅介護か、施設入所かを判断する。自宅介護となると、近くに住んで直接介護する兄弟姉妹のほうがどうしても負担が重くなる。その役割分担も加味して資金負担を話し合い、“とりあえず”決めておいたほうがいい」(高室氏)
介護にかかるお金は親の資産内で支払うことが原則だが、「人生100年時代」といわれるほど長寿となったことで、どうしても賄いきれないケースも多く、その場合は、兄弟姉妹で介護費用を支払うことになる。
だが、兄弟姉妹で費用分担を決めても、コロナで給料が下がったり、教育費がかさむなど、家計の状況は変わりやすい。
「誰がいくら負担するかを最初にキッチリ決めてしまうと、家計が厳しくなって分担の見直しを提案しても、『あの時、兄貴が出すっていったじゃないか』と言い争いになりかねない。実際の介護がいつ始まるか、その時、兄弟姉妹の家計がどんな状況かはわからないので、分担の約束は当面の期間にして、見直す余地を残しておくのも大切です」(高室氏)
厳しい「親の介護」を兄弟姉妹で協力し合って乗り越えたい。
親の介護でそれぞれが抱える負担5
【1】兄弟姉妹の役割分担を話し合う
【2】施設の入居を検討する
【3】介護の資金計画を立てる
【4】親が賄えない介護費用は兄弟姉妹で払う
【5】分担の約束は当面の期間にする
※週刊ポスト2021年1月1・8日号