一方、中部圏社会経済研究所研究部長の島澤諭氏は、BI導入の問題点を次のように指摘する。
「BIの具体的な制度設計は、まだ示されていません。竹中氏の『1人7万円』案にしても、『現在の社会保障制度にBIをプラスする』という折衷案にしても、財源をどうするのか。それを提示できない限り『医療費や年金が削られる』という疑念は消えないでしょう。
財源確保のために消費税や所得税を増やしたのでは、国民の生活はより厳しくなる。特に現役で働く若い世代の負担が大きい。国民の生活を救うつもりが本末転倒になりかねません。
また、もし社会保険が全廃されれば、社員の保険料を支払っている企業の負担が軽くなる可能性がある。それが狙いの推進派もいるかもしれません」
はたして日本にBIは導入されるのか否か──。
※週刊ポスト2021年1月15・22日号