コロナ禍が続くなか2021年が始まった。10月には衆院議員の任期満了に伴う総選挙が行われるが、もしも総選挙後も菅義偉・首相が続投すれば、秋以降に待つのは日本経済と国民生活の崩壊ではないか、という懸念が出ている。経済評論家の森永卓郎氏が指摘する。
「コロナの第3波で明白になったのは、菅首相の緊縮財政志向です。第1波の緊急事態宣言の際に安倍政権は中小事業者に配慮して、最大200万円の『持続化給付金』を支給しました。
しかし、新総理として第3波と対峙した菅首相は持続化給付金の延長を検討せず、その代わりに、休業手当を出しながら雇用維持する企業を支援する『雇用調整助成金』を活用する方針です。財源は企業が払う雇用保険料ですが、特別会計で運用されているため、いくら使っても、後で保険料が上がる形で自動的に事実上の増税になります。財務省所管の一般会計は痛まないので、そこにツケを回そうとしているのでしょう」
ただ、一般会計のほうも三次にわたる補正予算で、72兆円もの歳出増を強いられている。
「穴埋めとして、近い将来に大増税が行なわれるとみていい」(森永氏)
それはまさに、国民生活を無視してでも「増税」を進めたい財務省の望むシナリオである。
「『反財務省』の安倍前首相は、経産省出身の今井尚哉氏を官邸官僚のトップに据えて財務省を抑えましたが、後継の菅首相は経産省出身の官邸官僚を一掃し、財務官僚を復権させた。東日本大震災後に復興増税があったように、収束後にはコロナ増税が待っている」(森永氏)
日経平均株価は2万8000円を突破し、約30年ぶりの高値に沸いているが、菅首相のもとではこの「株バブル」も崩壊の危機を迎える。
「コロナ対策の持続化給付金などを出し渋ることで、中小企業を中心に企業倒産が連鎖して、失業者が急増する怖れがある。経済が停滞して消費が急激に冷え込めば、実体経済と乖離した上昇を続けていた株価は大暴落に転じる。日本株を買い支えてきた日銀の金融緩和も限界が近いでしょう。今年末の日経平均は1万3000円あたりまで下がりかねない」(森永氏)