家計

コロナ収入減で「小規模個人再生」の返済が困難に どうすればいい?

コロナ禍で小規模個人再生の返済に行き詰まって…(イラスト/大野文彰)

コロナ禍で小規模個人再生の返済に行き詰まって…(イラスト/大野文彰)

 新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなか、外出自粛による消費の停滞などで、中小企業や個人の事業経営者の経済ダメージがより深刻となっている。政府の支援金だけでは生活が立ち行かず、瀬戸際に追い込まれた事業者はどうすればよいのか。弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 夫は数年前に個人再生手続をとり、現在、再生計画に従って返済を行っています。しかし、新型コロナウイルスの影響で、現在の仕事の収入が激減。返済が困難になってきました。私もパートはしていますが、子育てにもお金がかかるため、返済にまで手が回りません。このまま返済が滞ってしまったら、どうなるのでしょうか。よい解決方法を教えてください。(福島県・47才・パート)

【回答】
 ご相談にある個人再生手続とは、民事再生法の定める「小規模個人再生」のことだと思います。民事再生手続による経済生活の再建が、コロナで困難になる例が増えているのではないかと心配です。しかし、民事再生法に従って対応できる場合があります。

 小規模個人再生とは、主に個人商店主や小規模の事業を営んでいる人などを対象とした手続きで、住宅ローンを除く借金などの総額が5000万円以下であることと、将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあることが利用の条件になります。

 個人再生では、再生債務者は住宅ローンを除く借金の総額に応じて目安とされる最低返済額(例えば借金総額が500万円を超え1500万円以下であれば総額の5分の1)か、全財産を処分して得られる予想額のどちらか多い金額以上の額を、原則3年以内に3か月に1回以上の分割で返済することなどを内容とする再生計画案を提出します。

 裁判所は、これを債権者に提示し、債権者のうち、頭数と債権額の双方で過半数の債権者が同意をすれば、可決になります。可決された再生計画案が返済の見込みがないときなどの特別な場合を除いて、裁判所が認可し、再生計画として確定します。そして、再生債務者は再生計画で定める以外の支払いを免れる制度です。この再生計画がやむを得ない事由で著しく実行困難になった場合には、裁判所に申し立てて、返済期間を最大限2年を超えない範囲で延長することができます。

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