ただし、職業訓練の受講には一定の条件をクリアしなければならない。
「所定給付日数が3分の1以上残っていることが原則です(一般受給者かそれ以外かなどの条件によっても異なる)。希望職種と訓練内容がかけ離れているなど、“失業給付の延長”を目的とした職業訓練の受講も認められません」(北村氏)
また、職業訓練と受給期間の延長が認められるコロナ特例(※注2)を併用する場合は注意したい。
【※注2/「令和3年1月7日以前に離職」「令和3年1月8日~緊急事態解除宣言日に離職した特定受給資格者(解雇など会社都合で辞めた場合、給付制限期間が免除される)」「緊急事態解除宣言日以降に、コロナの影響で離職した特定受給資格者」のいずれかに当てはまれば、給付日数が60日(一部は30日)延長される】
「給付日数に“コロナ特例”がプラスされる場合でも、職業訓練に申し込む際に必要な支給残日数は、特例で日数が増える前と変わりません」(北村氏)
それでは、再就職のために役立つ“おいしい”職業訓練コースはどういうものなのか。北村氏が勧めるのは、「資格系」か「職人系」だ。
「どうせなら一生使える資格を選びたい。たとえば電気設備システムは、第二種電気工事士の資格を取得でき、ビル管理などを専門的に担えます。また、職人は現在人手不足なので狙い目だと思います。以前、『ふすまや障子の張り替え職人』の職業訓練がありました。職人系なら将来、個人事業主として長く働くことも可能です」(北村氏)
現在、東京都で資格を取得できる職業訓練には、板金溶接、水まわりスペシャリスト、ビル管理、電気・通信工事、介護サービス、設備警備など、様々なものがある。開講時期や科目は自治体によって異なり、詳しい内容は「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」のホームページで検索できる。
コロナ禍で迎える定年消滅時代、雇用保険の賢い利用で万全に備えたい。
※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号