オンライン会議に在宅勤務――。新型コロナウイルスの影響は、企業活動のあり方に大きな変化をもたらした。その流れは、来客時の「お茶出し」にも及んでいる。湯呑みやグラスでお茶を出す慣習を取りやめ、代わりに小型ペットボトルを出す企業が増えているようだ。
サントリー食品インターナショナルによると、法人向けEC限定販売の「伊右衛門 お茶、どうぞ」(195ml)の 2020年6月以降の出荷数量が、対前年同期比の約3倍に達したという。同社は「衛生意識の高まりから、飲みきりサイズのペットボトル飲料の需要が高まっている」と分析する。
キリンも「やわらか天然水」(310ml)が好調だった。2020年1~12月は小型ペットボトル飲料全体では前年比92%と苦戦するも、同商品の販売数量は年間で前年を超え、12月単月では同月前年比で約25%増加したという。
広報担当者は、同商品について「コロナ前から、310mlというちょうどよい飲み切りサイズ感、企業色を感じさせすぎないデザイン性の高さが好評で、会議用や就活説明会用の飲料として多くの引き合いがありました」としたうえで、「コロナ禍において、お客様用飲料を手淹れから小型ペットボトルに切り替える動きがありました」と、やはり企業トレンドの変化を指摘する。
メーカーに勤務する30代の男性会社員・中山さん(仮名、以下同)の会社では、2度目の緊急事態宣言下の今年1月、来客用の飲み物として、小型ペットボトルを採用した。取引先とはオンラインでの対応が多くなったとはいえ、場合によっては対面することもあり、お茶出しの必要性がゼロになったわけではない。