新型コロナウイルスの影響によってイベントなどの開催制限が続くなか、広く普及したのがネットでの有料配信ライブだ。特に最近はお笑いライブの有料配信が人気となっているという。エンタメ事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏が説明する。
「“お笑い第7世代”と呼ばれる若手芸人の登場以降、ちょっとしたお笑いブームが起きているなかで、お笑いライブのネット配信がものすごく増えています。今年の1月1日に、『マヂカルラブリーno寄席』というライブが無観客で行われたんですが、こちらの配信チケットが約1万7000枚売れて、大きな話題になりました。
そのほかでは、2月12日になんばグランド花月で行われた見取り図とニューヨークのツーマンライブ『ピアス』と、2月14日に草月ホールで行われた空気階段の単独ライブ『anna』も好調で、それぞれ1万枚の配信チケットが売れました」
配信チケットの価格は、『マヂカルラブリーの寄席』が1枚960円、『ピアス』が1枚2000円、空気階段『anna』が2500円。単純計算すると、各ライブのネット配信における売上は、『マヂカルラブリーno寄席』が約1600万円、『ピアス』が2000万円、『anna』が2500万円ということになる。
「通常お笑いライブは、数百人程度のキャパシティーの会場で行うことが多く、規模が大きいものでも1000人程度。さらに現在は、コロナ対策で実際に使用される座席数はその半分程度となっています。つまり、チケット販売による売上はそこまで大きくない。でも、配信チケットが売れれば、その何倍もの売上に繋がる可能性があるということになります。それこそ、コロナ対策で受けた損失を上回る売上も可能でしょう」(大塚氏)
ネットでの評判を確認してから買える
そんなお笑いライブのネット配信を楽しんでいるというお笑いファンの声を聞いた。都内に住む30代の女性会社員・福田サキさん(仮名)は、こう話す。
「20代のころは1週間に2~3回くらいお笑いライブに行っていたんですが、仕事が忙しくなってきて、頻度が減っていたんです。でも最近は、お笑いの賞レースなんかも盛り上がっていて、ライブに行きたいという欲求が高まっていたところなので、ネットで配信をするようになってくれたのは、すごく嬉しいです。どのライブも基本的に1~2日くらいはアーカイブ配信をしてくれるので、寝る前など、空いている時間を見つけて観られるのは助かります」