また、ライブの評判を確認したうえで、配信チケットを買うかどうかを判断できるというメリットもある。
「例えば映画は、SNSに投稿されている感想をチェックした後、“面白そうだから行く”ということもできるんですが、お笑いライブの場合、基本的にそういうことができない。
公演が行われるまでネタバレもないし、公演が何回もあるわけではないので、一か八かで前売りチケットを買わなければならない。配信があれば、“面白いらしいから観てみよう”ということができます。それこそ、気になっているライブがあった日は、会場で観たファンたちがSNSに感想を投稿しているので、それを確認して、“これは是非とも観たい!”と思ったら、配信チケットを買うんです。
そうやって配信チケットを買ったものに、空気階段の『anna』があります。評判通りの面白さで、もし配信がなかったら、知ることも観ることもなかったかもしれません」(福田さん)
重要なのは「ライブ感」、DVDとの差別化も
ネット上での評判がいいライブに関しては、配信期間を延長するというケースもあるようだ。前出・大塚氏が語る。
「『マヂカルラブリーno寄席』などは、配信期間が延長されたことで、さらに配信チケットの売上が伸びました。そういった形でフレキシブルな対応ができるのも、ネット配信の大きなメリットです。
一方で、あくまで“ライブ”であり、半永久的にアーカイブ配信されるわけではないというのも、重要でしょうね。配信期間が限られていることで、“プレミアム感”を与えることにもなるし、単独ライブの場合はDVD化されることも多く、そことの差別化も必要です。あくまで“ライブ感”を保ちつつも、より多くの人が観られるような形になっている点が、ネットの有料配信の魅力でしょう」(大塚氏)
ファンにしてみれば面白いライブを見逃してしまうことがなくなるし、芸人にとってはより多くのファンにライブを観てもらえるということで、メリットも大きいネットの有料配信。コロナが収束しても、スタンダードなものとして定着していくかもしれない。