家計

87%が衝動買いを経験 脳科学的に分析する「浪費」のメカニズム

ドーパミンが「買い物依存症」を引き起こす仕組み

ドーパミンが「買い物依存症」を引き起こす仕組み

 ひと目ぼれして買ったはずなのに、たんすの肥やしになっている服や靴。安いからといってたくさん買ったはいいものの、使い切れそうもない食材……ムダづかいして後悔することは、誰しも経験があるだろう。実はそれ、「ムダづかい脳」のせいかもしれない?

 脳科学者の杉浦理砂さんが言う。

「国内のある調査では、消費者の87%は、計画的ではない購買(買うつもりのなかったものを買うこと)をしているという結果が出ています」

「日本人の9割もの人が浪費家なのか」と驚いてしまうが、実はその原因はわれわれの「脳」にある。脳神経外科医の菅原道仁さんが解説する。

「脳の重さは、大人でも約1400gに過ぎません。しかし、脳は人体で最もエネルギーを必要とする臓器。脳が1日に消費するエネルギーの量は、体全体が使う総エネルギーの20%にもなります。

 そのため、脳は少しでも省エネするために、反射や直感で物事を判断したり、重大な決断を先送りしたりするようにできている。しばしば魅力的なキャッチコピーなどにダマされて、理性が働かず、“欲しい”“素敵”“食べたい”といった本能的な判断で買い物をしてしまうことになるのです」(菅原さん・以下同)

「割引」「タイムセール」「人気商品」などの文言が添えられていると、つい買ってしまうのはこのためだ。

その「欲しい!」は脳がダマされているだけ

「本当はいらないのに、気づかないうちに脳が誘導され、さも“いますぐ必要”“買わないと損”と思い込んでいる状況は、『認知バイアス(認知のゆがみ)』がかかっているといえます」

「この服、30%オフだわ」「あの店員さんが着ている服、素敵」……そう思ってレジに向かった時点で、その購買欲にはすでに認知バイアスがかかっており、買ってもムダづかいになる可能性が高い。

 なぜなら、その服の魅力は、「30%オフにしている店」「着ている店員」が“演出”したものであって、あなた自身は本心ではその服に必要性を感じていないからだ。

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