父や母が高齢になると、病気、介護、そして葬儀など、さまざまなトラブルが生じる。だが、事前に親子で情報を共有し、書類や資料を用意しておくことで、問題を回避することができるだろう。
たとえば、医療や介護についての備え。親が急に倒れた時のために、健康保険証・介護保険証の保管場所は知っておきたい。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が解説する。
「加えて、親が民間の医療保険、生命保険に入っているかを確認しましょう。せっかく保険料を払ってきたのに、いざという時に子が保険の存在自体を知らないと無駄になってしまいます。
また、親に延命治療の意思表示カードを記入してもらっておくことも重要です。多くの人が、“その時が近づいてから確認すればいい”と後回しにしがちですが、親が弱ってからだと延命治療の希望なんて、なかなか聞けません。どこまで手を尽くすか、子供同士で意見が違ってトラブルになるケースも多いので、事前に親の意思を共有しておくのが望ましい。
公正証書をつくって意思を明示する方法もありますが、自治体や病院が用意する意思表示のフォーマットを使ってもいいでしょう」
親の認知症が進行した場合などは、家族だけで介護を担おうとすると、家族関係が崩壊しかねない。介護保険サービスを利用するために介護保険認定申請書を作成し、手続きする。夢相続代表で相続実務士の曽根恵子氏はこういう。
「親の判断能力が低下していれば自分で手続きができないため、子が申請することになります。地域包括支援センターや自治体の介護保険窓口に行って相談しましょう」