そもそも、1985年に第3号被保険者の制度ができた際に、サラリーマンの厚生年金保険料は約2割(保険料率10.6%→12.4%)も引き上げられている。それゆえ、専業主婦が“年金制度にタダ乗り”しているかのような議論は、国によるミスリードであると言わざるを得ない。ただ、政府が制度を変えるというのであれば、国民の側はそれに沿った対策を練る必要がある。
とはいえ、これまでは年金保険料を天引きされない範囲で働くのが“賢い稼ぎ方”だったのが、その条件がどんどん厳しくなる。であれば、パート妻もむしろできるだけ多く稼いで将来の年金を増やすことに注力する選択も有力になる。夫婦で安心の老後を過ごすうえでのひとつの処方箋となり得るだろう。
※週刊ポスト2021年6月1日号増刊『週刊ポストGOLD 2021改訂版 あなたの年金』より