そのためここは「ヒューリスティック」ではなく、冷静に考える必要があるのではないか。そもそも、テスラやビットコインの躍進を支えてきた世界的な金融緩和の流れは、インフレや金利上昇、景気回復に伴って、いずれは反転する。既に回復基調が強まっている米国では、早晩、テーパリング(緩和縮小)の議論も高まってくるに違いない。そう考えていけば、世界的な金融緩和の“あだ花”として大きく花開いたテスラ、そしてビットコインの隆盛はもはや風前の灯と言えるかもしれない。
【プロフィール】
真壁昭夫(まかべ・あきお)/1953年神奈川県生まれ。法政大学大学院教授。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリルリンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。「行動経済学会」創設メンバー。脳科学者・中野信子氏との共著『脳のアクセルとブレーキの取扱説明書 脳科学と行動経済学が導く「上品」な成功戦略』など著書多数。