コロナ禍で打撃を受けた業界が多いなか、家電の売れ行きは好調だ。ビックカメラやエディオンなど大手家電量販店の決算も増益が相次いでいる。家電ライターの藤山哲人氏が言う。
「白物家電は10年に一度の売れ行きと言われています。健康管理への意識の高まりから、エアコンや空気清浄機、マッサージ器などの売り上げが増加。長引く自粛生活の影響で、テレビや調理家電も人気です」
こうしたなか、自宅で居酒屋気分が味わえるグリルや酒燗器など、特定の機能に秀でた“一芸家電”も注目を集めている。
一芸家電といえば、古くは2013年に発売されたフィリップスのノンフライヤーだろう。油を使わずに揚げ物が調理できると大ヒットした。藤山氏は「この3~5年で、一芸家電は大きく進化を遂げた」と指摘する。
「かつてはパナソニックのような自社工場を持つ企業でなければ、家電を作ることができませんでした。しかし、中国などの海外工場に製造を委託することで、大手以外の企業が市場に参入しやすくなった。
加えてクラウドファンディングなどで資金調達も容易になり、消費者のニッチな需要に応えたり、アイデアで勝負するようなユニークな商品が増えてきたのです」
家電などを企画販売するライソンは、2018年にクラウドファンディングで約518万円を集め、カップ焼きそばのペヤングを美味しく焼くのに最適な温度や水の量を研究して専用ホットプレートを開発。発売からわずか4か月ほどで、2万台以上を売り上げた。藤山氏も「カップ麺とは異次元の美味しさ」と太鼓判を押す。
コロナ禍を機に、在宅時間を楽しもうとする人が増え、料理を始めた男性も多い。便利で楽しい一芸家電を生活に取り入れてみてはいかがだろうか。
※週刊ポスト2021年7月9日号