ともすれば、さらなる障害が発生した際に金融庁が責任を問われかねない対応とも受け止められ、波紋は広がった。
9月24日の閣議後会見では金融担当相を兼務する麻生太郎・財務相が「みずほ銀行が自らシステム更改などを適切に管理することを求めている。一緒にやる事実はない」と主体や責任はあくまでみずほ側にあると強調。金融庁も本誌に「システムの更改や更新の緊急性などをみずほ銀行が判断、準備して、その計画を我々に提出してもらうということ。判断するのはみずほ銀行で、その報告を踏まえて我々が議論をする」という言い方をした。
「とはいえ、金融庁としては当然、顧客に迷惑がかかるのが最大の問題ととらえるので、監督不行き届きと言われないように手を打ったものと考えられます」(森岡氏)
前例のない対応に踏み切った金融庁を率いるのは、7月8日に長官に就任したばかりの中島淳一氏である。東大工学部係数工学科を卒業した“理系出身”の新トップが、巨大銀行の病巣にどこまでメスを入れられるか、業界の注目を集めている。
※週刊ポスト2021年10月15・22日号