業務用食品スーパーから大型店、高級店まで、多種多様に展開するスーパーマーケット。高級スーパーでは、より一層特徴的な店舗も少なくない。各スーパーの魅力と最前線を解剖するシリーズ、今回は生産者との直接取引に強みを持つ高級スーパーShinanoya(信濃屋)を取り上げる。
この9月に本店の代田食品館がリニューアルオープンした信濃屋では、国産・無添加にとことんこだわっている。
「魚は国産の天然魚を仕入れており、たらこも無添加しか置きません。いまが旬のかつおも、鮮度がいいのでたたきにすることなく、一尾のまま店頭に並べ、お客さまのご要望に応じて、店内で刺身にするなどの加工をしています」
とは、同社統括本部長の鈴木誠さんだ。こだわりは魚だけでない。牛肉は、希少性の高い国産のメス牛を一頭買いしている。さらに卵も無添加の飼料で飼育されている鶏からとれたもので、牛乳も牧草を食べて伸び伸び育った牛から搾った低温殺菌牛乳ばかり。ソーセージやハムも添加物が入ったものは置いていない。
「素材本来の味や見た目を、子供の頃からスーパーで学べればと考えています」
これほど素材にこだわるスーパーだからこそ、プライベートブランド(PB)への力の入れ方もひと味違う。
「弁当や総菜、パン、デザートもすべて店内の食材を使って店舗で手作りしています。たとえば、ポテトサラダには、信濃屋で低温調理したPBのサラダチキンや、平飼い鶏の卵で作った茹で卵、マヨネーズを使用しています。サラダも次亜塩素酸では洗わず、電解質で分解させて殺菌しているので、安心です」
弁当や総菜ができあがる昼と夕方には、それを目当てに来店する客も多いという。
「信濃屋に並んでいる食材なら、食品表示を見ることなく手にとっても安心です」と、常連客も笑顔で語ってくれた。