“業際”の強化で新商品を
――クラシエが手がける日用品や食品事業はプレーヤーが多く、価格競争も激しい。
岩倉:ヘアケア市場は花王さん、P&Gさん、ユニリーバさん、資生堂さん……ビッグプレーヤーがひしめいています。
――好調の要因は。
岩倉:『ディアボーテHIMAWARI』というシャンプーは、30代以降の女性が悩む“髪のゆがみ”に特化して研究した商品で、この1年で売上が10億円以上も伸びました。髪質は10人いれば10人とも違います。我々は汎用性では多少遅れをとっているかもしれませんが、絞り込んだターゲット層のお客様に響く“尖った個性的な商品”を出している自負、自信があります。
たとえば『マー&ミー』というシャンプーブランドは顧客層を「お母さん&お子さん」が一緒に使うことに絞っています。それくらい割り切ったほうが共感を持っていただけると考えています。
――食品事業はどうですか。
岩倉:コロナ禍で対面での会議が減ったりしたことで、タブレットの『フリスク』が苦戦しており、需要が戻るにはしばらく時間がかかりそうです。しかし一方で、親子で過ごす時間が増えたことで「知育菓子」と呼ばれる手作り菓子が急成長しました。『ねるねるねるね』や『たのしいおすしやさん』が人気です。こうした商品は商品化に手間がかかる割に市場が限られますので、大手の菓子メーカーは簡単に参入しにくい。逆にそこが我々の攻めどころです。
――薬品と合わせて3事業あることは強みになる?
岩倉:複数の事業を持っているメリットは、何か不振になってもほかの事業でカバーできることです。そこでいま積極的に取り組んでいるのは、3事業の“業際”の強化です。日用品、薬品、食品がそれぞれ優れた技術を持っていますので、それらを組み合わせていけば、また新しい商品を生み出せると考えています。薬品と食品の“業際”でいえばサプリメントや健康食品などが挙げられます。ただし、単なるサプリではクラシエらしさがありません。クラシエ薬品の強みである漢方薬、特に生薬の活用法を、クラシエフーズが持つ香りや味の技術とうまく掛け合わせていきたいですね。