そこで思いついたのが、価格が抑えられる食べ放題・飲み放題の飲食店の提案だった。そこなら、クーポンを利用すれば2時間3000円程度で利用できる。拓也さんとしても、この金額なら納得できるし、きっと友人たちからもコスパが良い店を探したと感謝される……と思っていたのだが、結果は大きく異なるものだった。
「『そんなにお金に困ってるの?』と、心配されました。『社会人、独身、実家暮らしで、なんでそんなにお金がないの?』まで言われた時はイラっとしましたね。お金がないんじゃなくて、コスパの悪いことが嫌いなだけ。そこから私をバカにするような発言へと変わっていきました」
友人たちに言われて一番カチンときた言葉は「子供部屋おじさんみたい」だったそうだ。忘年会の話題から拓也さんに対するひやかしへと変わったメッセージのやりとりは、拓也さんの“既読無視”で終了に。以降、グループチャットを読んでおらず、その後のことは分からないそうだが、拓也さん抜きで企画が進んでいるだろうとのことだった。
「この件をオンライン飲み友に話したら、『行けば良かったのに』とか、『久しぶりの集まりだったら、コスパよりも居心地や美味しさを重視するなぁ』と、指摘されてしまいました。コスパ良く生活することを批判された気がして、とてもショックでした。人間関係を見つめ直すいい機会だと思って切り替えていきたいと思います」
これからも貯金額を増やし、コスパ良く人生を楽しんでいきたいと話す拓也さん。今後は結婚を視野に入れた活動を考えているそうだ。求める女性像は「貯金が大好きな人」とのことだった。
コロナ禍を経て、飲食店を利用する人の意識は大きく変化した。酒類提供の制限解除を喜んでいる人もいれば、引き続き自宅でお酒を楽しむ人もいるだろう。それぞれ価値観が違うからこそ、複数人で意見を交わす際は状況を読みながら発言したほうが良いかもしれない。