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米新興EVメーカー・リビアンは「次のテスラ」になり得るのか

イーロン・マスク氏もCF黒字化の難しさに言及

 多くの競合メーカーがEVの新商品を投入する中、リビアンが競争を勝ち抜いていけるかどうかは分からない。それでも戸松氏は、「リビアンが上場によって資金を得たことは大きな意味がある」と分析する。

「同社の2020年のキャッシュフロー(CF)を見ると、営業CFが8.5億ドルの赤字、投資CFが9.1億ドルの赤字である一方、資金調達で財務CFは25億ドルの黒字となっています。今年6月末の時点で現金を37億ドル保有しているのに加えて上場による資金調達もあり、当面の間の投資を支え得る資金は確保していると言えるでしょう。

 リビアンの『R1T』を生産するイリノイ州ノーマルの組み立て工場は現在、最大15万台の車両を生産できる設備を有しており、リビアンの売上高は2025年には200億~250億ドルに達するとのアナリスト予測もあります。2019年のテスラの売上高は約246億ドル。“次のテスラ”となり得るかは、今後本業の稼ぎを示す営業CFと、事業拡大の力を示す投資CFをどれだけ早く黒字に転換できるかが課題になるでしょう」

 テスラCEOのイーロン・マスク氏は11日、リビアンの上場を受けて「何百社もの自動車関連のスタートアップが誕生したが、テスラは過去100年で大量生産とプラスのキャッシュフローを達成した唯一の米自動車メーカーだ」とツイート。高い生産台数を実現しながら、CFを黒字化する難しさについて指摘している。

 なにより、EV市場への資金流入が過熱している現状がある。

「世界的な金融相場でEVメーカーへの資金流入が進み、株価はかなり先まで織り込まれている状況です。特に、テスラ株の値上がりは著しく、自動車メーカー株トップ10の時価総額の内訳を見ると、テスラがほぼ半分を占め、2位のトヨタから10位のBMWまで足した価値と同じになっています。もちろん金融相場が続けば、まだまだ株価に上昇余地はあることになりますが、将来的に金融緩和の縮小が本格的に始まり、資金流入が終わればその反動が来る可能性も頭に入れておきたいところです」

 テスラ株やリビアン株は、今後も上昇を続けるのか、はたして──。

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