麻衣さん「私、パパの知り合いの会社で事務職をやった短期アルバイト経験しかなくて……だから事務職をお手伝いするの」
明子さん「事務職って何してたんですか? Excelとかできるんですか? 事務職って一言で言っても結構大変ですよ?」
絵里さん「そうそう、そもそも麻衣さんは人に雇われるの向いてないと思う。やめた方がいいんじゃない?」
明子さん「確かに、社会性問われますよね」
絵里さん「聞いていいですか? 時給いくらなんですか?」
明子さん「まさか1000円とか言わないでよ笑」
2人はどんどん盛り上がります。社会に出てお金を稼ぐことの大変さを知っている2人からすれば、麻衣さんの“パート話”は絶好のマウンティング対象になったようです。
「最初探してみたら、時給1000円ちょっとのお仕事ばかりだったの。でも、秘書検定を持ってるのと英語ができるから、それを活かせるお仕事を探したら、結局時給1700円なの」
東京都の最低賃金は時給1041円なので、時給1700円はそこまで安い金額ではありません。しかし、バリキャリのプライドがある絵里さんはほくそ笑みます。
絵里さん「えー? それだと週3で出ても手取りは10万円ちょっと? 大変~。雀の涙ですね」
明子さん「逆に10万なんて稼ぐ意味あるんですか?」
絵里さん「そうそう、実家に出してもらうとか旦那さんにもらうとか、麻衣さんなら周りにお金あるでしょ(笑)」
明子さん「ね、そう思う。40万お小遣いもらってた人が1700円の時給って笑われますよ!」
そこまで言われても、おっとり麻衣さんはいつものトーンを崩しません。
「お金に困るというよりは、子供の手が少し離れて時間ができたから、その時間を今まで経験してこなかった仕事をすることで、少し勉強したいの。
絵里さんとか明子さんみたいに自分の道をしっかり見つけて自分で切り開く姿にずっと憧れていて、かっこいいなと思っていたから、全然足元にも及ばないけど、結婚して初めて自分のお給料が出たら家族になにかご馳走してあげるのが夢なの」
その言葉に育ちの違いを実感し、2人はいたたまれなくなったようです。
後日、麻衣さんは初めてのお給料から2人にそれぞれハンドソープをプレゼント。まさに“金持ち喧嘩せず”。元から持っている人は、決して比べず、勝ち誇らない姿勢に、さらに違いを感じた2人でした。