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投資

オミクロン・ショック 発端となったのは海外投機筋の「ドルの売り浴びせ」か

急激な円高に引きづられるように11月26日の日経平均株価も大幅に下落(写真/時事通信フォト)

急激な円高に引きづられるように11月26日の日経平均株価も大幅に下落(写真/時事通信フォト)

思惑以上に売りが売りを呼ぶ

 これが何を意味するのか。ここからは私個人の見解だが、午前8時に複数の投機家が示し合わせて、売りを一斉に仕掛けたと考えられる。たまたま数時間前にオミクロン株のニュースが出たため、それが材料視されているが、はっきり言えば、売る材料はなんでも良かったのではないだろうか。

 当時の為替状況を振り返ると、115円半ばからのドル円の売りが厚く、既に円安に動いていたため、多少思惑と違う方向に動いたとしても、それ以上は簡単に円安にならない状況だった。そのうえで115円以下の円高になった場合に損切りされる「ストップロスオーダー」が多いことも事前に把握していた、用意周到な売りだったと推察する。さらに言えば、8時ジャストという時間も気になる点だ。東京市場が開始する9時前、取引が薄く売りが最も効果的となる時間帯を狙った可能性がある。

 115円以下の円高に誘導でき、ストップロスオーダーが発動して短期的には仕掛けた投機筋の思惑通りに動いたが、興味深いのは、予想以上に金融市場が反応してしまったことだろう。投機筋の想定以上に売りが売りを呼び、ドル円はもちろん、株式市場までが下落する総崩れの相場となったとみられる。仕掛けた本人たちも、まさかここまで大きく動くとは思っていなかったのではないだろうか。

 今回の急落に投機筋が関係していると考えた場合、彼らはなぜこのような相場の下落を狙ったのか。この時期、海外では決算を迎える投資家が多く、年間の収益ノルマに達していない投資家が、今回のように無理やり相場を動かして儲けを狙うことがある。株式市場でこんなことをすれば市場操作だと疑われてしまうところだが、為替市場はとても巨大な市場で、中央銀行でも相場を動かすことは難しい。そのため、市場操作が問題視されることはほとんど無いのだ。

 今回の金融市場の混乱は、オミクロン株の発生に乗じた海外勢の売りが生んだ、“偶然の混乱”だったのかもしれない。

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