現在、EVの販売台数は米国のテスラ(年約93万台)の独り勝ち状態で、日本は出遅れているとされてきた。そこに業績絶好調のソニー、トヨタが“殴りこみ”をかけたのだ。果たして勝算はあるのか。経済ジャーナリストの片山修氏が語る。
「EVには航続距離やバッテリーの充電時間など課題があり、ハイブリッド車の技術で優位なトヨタをはじめ日本のメーカーはこんなに早く市場がEVに転換していくとは予想していなかった。ハイブリッドで後れを取った欧米は巻き返しのためにEV導入を加速させることで“トヨタ包囲網”を敷いた。それでも、トヨタは焦っていなかった。
実は、ハイブリッドで培ったモーターや電池開発のノウハウを持つトヨタは、いつでもEVに転換できる技術を磨いてきた。今回、トヨタは16車種を一度に発表していよいよ本気になったことを示し、油断していた海外のライバルたちは衝撃を受けている」
一方のソニーは自動車の「家電」化を目指しているが、米アップル社も同様に戦略でEV参入を目指しているとみられており、ソニーカーのライバルは「アップルカー」になるかもしれない。片山氏もこう言う。
「どの企業もGAFAには勝てないと言われるなか、世界でGAFAに匹敵する実績をあげてきたのはソニーしかありません。今でもソニーのブランド力はケタ違いに強く、ソニーがEV」を作るというニュースは世界を駆け回った。だから日本でアップルに勝てるとしたらソニーブランドしかない」(片山氏)
世界的企業が鎬を削るEV市場を、トヨタとソニーのタイプの違うEVが席巻していく未来は来るか。
※週刊ポスト2022年1月28日号