そのために、警察署に暴走族のメンバーを集めて特攻服や凶器を没収し、「ここで解散します。これまでスミマセンでした」と保護者に頭を下げさせる「解散式」も発案した。こうした儀式をすることでひとつのケジメがつき、新しい人生に踏み出せると信じていた。
警部補時代、暴行事件を起こした暴走族の解散式を行なうと、あるメンバーの母親から「ウチは親子2代で秋山さんにお世話になりました」と礼を言われた。彼女の夫は暴走族の元リーダーで、20年前に駆け出し刑事だったワシと一緒に解散式を行ない、更生して仕事を頑張るようになったという。
息子のほうは、のちに徳島のうどん屋で働き始めた。ハチマキ姿で一生懸命にうどんを打つ姿を見た時は胸が熱くなったもんや。
人はいつでも生まれ変われるということやな。ほなっ、また!
【プロフィール】
秋山博康(あきやま・ひろやす)/1960年7月、徳島県生まれ。1979年、徳島県警察採用。交番勤務、機動隊を経て刑事畑を歩む。県警本部長賞、警視総監賞ほか受賞多数。退職後は犯罪コメンテーターとして活動。YouTube「リーゼント刑事・秋山博康チャンネル」が話題。
※週刊ポスト2022年1月28日号