トンガ沖の海底火山噴火が甚大な被害をもたらしている。こうした自然災害リスクや地政学リスクは株式市場や為替相場などのマーケットにも影響を与える可能性があるが、投資家はこうした突発的事態にどう向き合えばよいだろうか。株やFX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、投資家の「イベントリスク」への向き合い方について解説する。
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先日のトンガ沖で発生した大規模な海底火山噴火は大きな被害を出しています。まずは何より、トンガに住む皆様の安全を祈りたいと思います。さて、市場関係者の中にはトンガの噴火に伴い、株安の進行を懸念する人もいましたが、こうした事態に投資家はどう対応すべきかを考えていきましょう。
地震や津波、噴火といった、大きな自然災害が起こった場合、周辺都市への被害が明らかになるとともに、株式市場が急落するケースがあります。今回のトンガ沖噴火でもそのような事態を想定した投資家がいたのでしょう。
自然災害だけでなく、大事故やテロ、政変など、事前に予測できない出来事に伴う「イベントリスク」は、個別に影響度合いを考慮する必要があります。もちろん、市場に大きな影響を与えるほどの「イベントリスク」が浮上すれば、マーケットが一時的にクラッシュする可能性もありますが、それ以降は往々にして元の価格水準に戻るケースもあるということは覚えておきたいところです。
例えば、2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロは、多数の死者を出した大事件です。この事件が起きる前週の9月4日の日経平均は1万770円付近で推移していましたが、事件の翌週9月17日には9500円付近まで10%超の下落となりました。一方、ドル円は1ドル=123円から1ドル=115.55円まで急落したものの、その後1ドル=121円を回復し、翌2002年2月にかけて1ドル=135円まで上昇しました。2003年3月のイラクの軍事作戦スタート時も、日経平均やドル円は急落し、金価格は上昇しましたが、その後は元の価格帯まで戻しています。
今回のトンガ沖噴火のマーケットへの影響度を考えてみましょう。トンガという国は南太平洋の島国であり、周りに大きな影響を与える先進国にはオーストラリアぐらいで、米国の都市部で起きる災害や事件に比べると、市場への影響度は異なります。トンガ国の被害は甚大なものにもかかわらず、現時点では株式市場に大きな影響は現れていないようです。
このように「イベントリスク」が高まったとき、まずは世界経済へどの程度インパクトを与えることなのか、注目するといいでしょう。また、上で紹介した米国同時多発テロやイラクの軍事作戦の事例のように、「イベントリスク」が起こったとしても、短期間で元に戻るケースが散見されます。
投資家の中にはマーケットがクラッシュしたときに、タイミングをうかがい、エントリーする人もいます。ただし、急落後にいつエントリーすればいいのか、どのようなシグナルやテクニカル指標を利用してエントリーすべきなのかは、投資初心者だと判断や分析が難しいものです。こうしたイベント時に対応できるトレーディング能力は、様々なインジケーターを利用し自分自身のスタイルを構築し学習を続けていく中で、身に付けられるようになるでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)