「すごいのはまきちゃん。結婚したご主人は20歳くらい上だけど資産家で。母の日のプレゼントがエルメスのバーキンだって。いいわねぇ」
明日香さんは、それに比べると「うちは何もない」と考えています。むしろ、お嬢様学校出身であることが邪魔になっていると思う節さえあるそうです。
「ハイスペが普通なので、男性に対しても妥協できない」
「会社で紹介されるときは必ずといっていいほど、『○○出身の明日香ちゃん』と学校名をつけられていて、正直うんざりしています。同期にもなんとなく腫れ物扱いというか、見下されると感じることもあります。地方出身の野心家の同期で、だいたい仕事の成績は同じくらいのはずなんですが、私みたいなどこかボーッとしてても上司に学校名で話題の中心にされる存在が気に食わないみたいで。
自分がどんなに頑張っても、自分の努力と思ってもらえないこともあります。この余計な育ちのせいで……むしろなにもない子が羨ましい時期もありました」(明日香さん)
一方で、「周りにレベルの高い人がいすぎてハイスペが普通なので、男性に対して妥協ができない」ことも自覚しているといいます。
「会社で私の学校名聞いてわからない人とか、『すごい!お嬢じゃん!』って言ってくる人は、正直付き合っても価値観が違いすぎて合わないんですよね」(明日香さん)
会社では苦労知らずで育ったとみなされており、認めてもらうために人の何倍も努力をしなければならないと感じている明日香さん。一方で、家では同級生の成功話を母親から聞かされて、プレッシャーも感じています。
コロナ禍の対応をめぐって、公立小学校ではオンライン化が遅れるなどして私立小学校の人気は高まりつつあります。冒頭で指摘したように、金銭面を考えれば、私立小学校に入れる人とそうでない人の間に格差があることは厳然たる事実。しかし、その先にはまた格差が待っているということです。