かけがえのない家族の一員であるペット。コロナ禍で在宅時間が長くなり、ペットで孤独やストレスを癒そうと飼い始めた人もいるかもしれない。一方で、集合住宅ではペット飼育をめぐるトラブルも頻繁に起きている。実際にあったトラブルの実例を紹介しよう。
隠れて飼っている人がいる?大家に訴えたら…
「私はアレルギー体質なので、その引き金になりかねない動物を避けていました。住まいもわざわざ『ペット不可』の物件を選んだのに、まさか飼っている人がいるとは思いもしませんでした」
そう嘆くのは、IT企業で働く30代女性・Aさんだ。共有部の廊下で、出会うはずのない小型犬と遭遇したことを振り返る。
「ある日、廊下を小型犬が歩いていて、目を疑いました。最初は野良犬が迷い込んだのかなと思いましたが、首輪が付いていたので飼い犬のようでした」(Aさん)
その後、同じフロアで犬の鳴き声が聞こえてきたことから、ペットを飼っている住人がいるのではないかと怪しむようになったAさん。ある出来事をきっかけに、マンション内で飼われていることを確信することになった。
「共有廊下を歩いていると、時々犬の声が聞こえてくることがありましたが、近所で散歩させている犬の声が聴こえてくるのかなと思っていました。でも、ある時、同じフロアの廊下で抱っこして廊下を歩き、エレベーターに堂々と乗っている住人を目撃したんです」(Aさん)
Aさんは、ペット不可の物件にもかかわらず、住人のふてぶてしい態度に怒りを覚え、大家にその事実を訴えた。だが、返ってきたのは意外な答えだった。
「大家さん曰く、その住人は長年住んでいる人で、小型犬を飼いたいと懇願されたため、敷金を追加2か月分払うことと、他の住人から苦情が来たら退去するか飼育をやめるという条件で、許可を出したとのこと。
だったら私の申し出を聞き入れてくれるかと思いきや、『マンションの空室が目立ち出したから、ペット可にしようと思っている』と言い出したんです。ペット不可だから入居したのに……。結局、更新が近かったので違うマンションに引っ越しすることにしましたが、そういうこともあるんだなと勉強になりました」(Aさん)