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相続税対策の“駆け込み贈与”焦ると取り返しのつかない事態に 事前に遺言書作成を

生前贈与よりも先にやっておくべきことは多い(イメージ)

生前贈与よりも先にやっておくべきことは多い(イメージ)

 昨年秋から年末にかけてメディアを騒がせたのが「相続・贈与ルールの改正」の話題だった。これまで相続税対策として活用されてきた「生前贈与の年110万円非課税枠」の廃止が決まるとみられていたのである。ところが、昨年12月に発表された「令和4年度税制改正大綱」では変更は見送られる結果となった。

 相続・贈与に詳しい山本宏税理士事務所所長の山本宏氏が解説する。

「今回は時期尚早だとして見送りになりましたが、遠からず見直しがあると考えていいでしょう。ただし、そのタイミングは最も早くて1年後と考えられます。問題はそれまでに何をやるかですが、最もやってはいけないのは慌てて財産を子供に贈与してしまうことです」

 相続税は亡くなった時の保有財産に対して課税されるので、生きているうちに非課税となる範囲(年110万円以内)で財産を贈与していくのが、「暦年贈与」の考え方だ。しかし、人生120年時代といわれる“長い老後”を考えれば、「先に子供へ財産を渡す」と自身の生活にリスクが生じる。

「まずは、自分たちが生活していくうえでの財産を確保することが何より重要です。私の事務所にも相続税対策で生前贈与をしたいという人がたくさんやってきますが、“そんなに贈与してあなたの生活は大丈夫ですか?”と心配になるケースが非常に多い」(山本氏)

 贈与よりも、まずやるべきは「財産の棚卸し」だと山本氏は続ける。

「自分が亡くなった場合、家族がどれくらい相続税を払うことになるのか、将来の老人ホーム入居なども考えると自分のための財産はどれぐらい必要なのか、といったことを細かく把握したうえで、贈与の必要性を判断していく。その順番を間違えてはいけません。

 財産の棚卸しをしたうえで、本人が生前に使いきれないほどの財産がある場合は、年間110万円の非課税枠を使うなどして贈与を進めるという手順です」

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